副作用

薬を拒否

 

Aさんのことを書く前に、自分のことを書くことにする。

 

私は独身の頃、幼稚園の先生をやめた後、幼なじみの家が開業医だったのでそこで医療事務のお手伝いをしていた。

 

そのときに暇があると、薬の使用上の注意や副作用が書かれた紙を読んでいた。

 

深い意味はなかったと思うが、興味があるから読んでいたのだろう。

 

 

それから月日は流れ、ケントの発達障害の診断が出て、クリニックで薬が処方された。

 

独身の頃に薬の副作用を散々読んできた割に、そのときの私はケントが落ち着いてくれるなら薬を飲んでほしいと思っていた。

 

まぁ それほどケントは大変だった。

 

しかし、薬を飲むかどうかケントに尋ねるとあっさり「薬は飲まない」と言われてしまった。

 

それだけでなく「薬にコントロールされるのはまっぴらごめんだ」とケントは言った。

 

本当はがっかりした。

 

だって、この白い粒を飲んでケントが落ち着いてくれるならありがたいと思ったから‥‥

 

しかし、拒否されたわけだ。

 

だからケントは薬を飲んでいない。

 

だいたいケントは薬が大嫌いだ。

 

よほどのことがない限り飲まない。

 

でもこの間、インフルエンザで40度8分の熱を出したときはインフルエンザの薬を飲んだらしい。

 

つまり、時と場合によるということだ。

 

 

向精神薬

 

 

 

 

 

 

 

そして、更に月日は流れ、Aさんと知り合う前、私の友人が自殺した。

 

向精神薬を飲んでいた。

 

それから私は、精神医療について書かれた本を読んだり、向精神薬の成分、副作用について調べるようになった。

 

そういう背景がある中で、中学生のときから向精神薬をずっと飲み続けているAさんと出会ったわけだ。

 

つまり、Aさんは10年以上に渡って薬を飲んできた。

 

入院もしている。

 

ちゃんと働くこともできない状態だった。

 

しかし、Aさんは働きたいと思っていた。

 

良くなりたいと思っていた。

 

「薬を減らしたい、やめたい」という気持ちと、「薬がないと無理」という気持ちが交錯していたのだと思う。

 

昨日も書いたが、Aさんは薬を飲んでいたが辛そうだった。

 

何度も色々な仕事に挑戦したが数日でやめるという感じだった。

 

何とかその辛さを軽減できないかとたくさんのエッセンシャルオイルを持って行って、落ち着く気に入ったエッセンシャルオイルがあるか聞いてみた。

 

Aさんはいくつかのオイルを選んでデュフューズするようになった。

 

これはなかなか良かったようだが、薬をやめるには至らなかった。

 

あるとき、Aさんは電話で今の辛さについて話していた。

 

辛い症状をいくつかあげていた。

 

私はAさんに聞いてみた。

 

「今、あなたが飲んでいる薬の副作用を調べたことはある?」

 

「ありません」

 

そう言いながらAさんは薬の副作用を調べ出した。

 

電話の向こうで息を飲んでいる。

 

「どうしたの?」

 

「今、抱えている辛い症状は全て、薬の副作用に書かれています」

 

「そういうことだろうと思っていたよ」

 

向精神薬の副作用についてはけっこう調べていたから‥‥

 

 

そのあたりからAさんは真剣に薬をやめることを考えるようになった。

 

 

明日に続く

 

 

 

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