27年前のこと
27年前のことを突然、思い出した。
娘が生まれたばかりの頃、アパートの2階に住んでいた。
娘は低体重児で生まれ、ミルクが上手に飲めないで、
私は初めての育児に悪戦苦闘していた。
そしてそれに加えて、
それがおっそろしいほど大きな声で、
それがほぼ毎日続いた。
あまりにもひどい日の翌日には、
泣く理由
「あの子が泣くのは全部、私が悪いんです。
あの子が生まれて直ぐに、夫の仕事で海外に住みました。
知らない土地で、私はホームシックになり、
だから、今になって、なんで私をかまってくれなかったの?
だから、あの子が泣くのは全部私のせいなんです。
もちろん、お母さんが謝りに見えても、
そして、またお母さんは謝りにみえて、同じ話をされた。
そんなことがずっと続いた。
ある日、私はMちゃんに手紙を書くことにした。
Mちゃんがひどく泣いた翌日には、お母さんが謝りにみえて、
お母さんがMちゃんに寂しい思いをさせてしまったこと。
だから、私が悪いと、お母さんが言っていること……等を書いた。
そして、うちの娘が小さく生まれて、泣いてばかりで、
だから娘も私も辛い思いをしていることも書いた。
最後にお母さんはMちゃんを愛していて、
便箋に8枚くらいになった。
その手紙をお母さんに渡して、
その日から、Mちゃんは泣かなくなった。
しばらくするとお母さんがみえて、お話して下さった。
学校からMちゃんが帰って来て、直ぐに手紙を渡すと、
「お母さん、私もう泣くのをやめる」
お母さんは手紙を読ませて欲しいと言ったけど、
「娘はそれから明るくなって、色々話もできるようになりました。
本当にありがございました」
嬉しそうにお話して下さった。
それから、間もなくMちゃんご家族は引っ越しをされた。
なんの憂いもなくお見送りできた。
あの時、
Mちゃんにお母さんの愛を伝えられて本当に良かった。