おれがおもしれー!

ケントの言葉

二十歳でケントが家を出る前に言ったことはもうひとつあった。
「おれは、おれがおもしろくてしょうがねー」
いかにもケントっぽい言葉だ。
自分のことが「おもしろくてしょうがねー」って、なかなか言えない。
ちなみにそれまでのケントは失敗だらけ。
順風満帆の真逆の人生だったと思う。
高校生の時だけで、交通事故4回。最後の事故は自分が悪かったが、後の事故は相手が全面的に悪いか、ケントの過失は1割程度。
つまり、被害者。

最初の事故などは自転車で走っていて、後ろから来たバイクに吹っ飛ばされて、けがをしたが、バイクは逃げて行った。
骨折はなかったものの、腕のけがはけっこうひどかった。
バイトも三男同様長続きしない。
彼女ができても、こちらも長続きしない。
いつもイライラしていて、笑顔の日は少ない。
まー そんな感じなんだけど……
それでも「おれがおもしろくてしょうがねー」って言えるポジティブさ。

これはケントがもっている強みのひとつ。
けっこうひどいことがあってもけろっとしている。
そして、なぜか自信に満ちている。
講演で、ケントを見た人はケントのエネルギーの強さや、自信に満ちあふれている様子を見て驚かれる。
「その自信はどこから出てくるんですか?」って私も聞きたい。

ルームシェアのあと

その後、男友だちとのルームシェアの生活は1年で終わって、家に戻ったけど、それから2年後にその友だちと事業を立ち上げ、1年後に再び家を出た。

時々、ケントに会うが、やたら幸せそうだ。
ケントの強みはいっぱいあるが、このポジティブさは本当にすごいと思う。
どんなことがあってもへこたれない。
けろっとしている。
何事もなかったように立ち上がる。

「人生、思い通りに行かねーからおもしれーんだよ」
  ケントの名言

「ケント君、確かにあなたは本当におもしろいです」
       by 母

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