歩かないからな
ケントが小学校5年生の時のこと。
教育相談所に行っていた。
ケントは相談員の方とお話したり、ビリヤードしたり、
その間、私は別の相談員の方とお話をする。
1ヶ月に1回くらいだけど、
ところがある日、
「ケントは絶対、歩かないからな!」
「じゃー 今日は行くのをやめる?
」
「やめない。だけど絶対に歩かないからな!」
「ママだけ行って、ケントは車の中で待ってる?(
「ヤダ!」
「ケント、歩かないならママがおぶってあげようか?」
「ふざけんな!」……
こんなやり取りを繰り返しながら、教育相談所に着いた。
わけがあった
着いた頃には私も疲れていた。
それで、いつもなら「ケンちゃん着いたよ。降りて」
言い訳のようだけど、そういう言い方は普段したことがない。
もう、ほんとに面倒くさくて、
すると、ケントは「かわいいオレ様に向かって、
「そうだよね。ケントは、ほんとにかわいいものね」と言うと、
それを聞いたケントは、黙って降りた。
降りたものの「歩かないって言ってるだろ!」と言っていたが、
私は、何を言っても「歩かない」を言い続けていたので、
「ケントは、刀、好きでしょ。
どんな刀が好きなの?」
「おじいちゃんちで見た◯◯な刀。すっごくかっこいいんだよ」
「へー じゃー おじいちゃんは、どんな刀が好きなんだろうね」
「おじいちゃんはね……
あのさー、ママはどんな刀が好き?」
「ママは刀のことはあんまり分かんないな。
ケンちゃん、着いたけどどうする?」
「行ってくる。じゃーね」
その話を相談員の方にしたら、
「お母さん、上手ね」と褒められた。
後で分かったことだけど、その日、相談所の駐車場の工事なので、
ケントは、急な変更は苦手だから、「次の時だけ、
と言ってあった。
市役所の駐車場は相談所の駐車場よりちょっとだけ歩く。
それが、きっと嫌だったんだ。
いつも通りじゃないことも、もちろん嫌だった。
でも相談所は行きたかった。
そういうことだったのだと思う。
やっぱり必ず理由はある。
そして、
ほんとにケントは変化が苦手。
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