三男のお勧め
「おふくろ、『君の膵臓をたべたい』読んでみなよ。生き方変わるよ。
それからさ、主人公の男、◯◯(次男)にめっちゃ似てんの」
「あなたはどんなふうに生き方変わったの?」
「仕事の取り組み方が変わった」
「そうか。それはすばらしいね。
それに、主人公が◯◯に似てるなら読んでみるかな」
そして三男は「君の膵臓をたべたい」の文庫本を貸してくれた。
その後、何度も「読んだ?」と聞くので、三男はよほど私に読んでほしかったのだと思う。
実際、私が読んでみようと思ったのは、三男が「読んで良かった」と思っている本を読んでみたいと思ったからだ。
正直言えば、タイトルが好きじゃなくて、三男に勧められなければ、決して読まなかったと思う。
三男は私が本当に読んでいるのか気になるらしく「どのくらい読めた?」と時々チェックする。
ちなみに三男はいかにも本を読まない感じの子なんだけど、実は好奇心旺盛なので、はやりのものには飛びつく。
だから、話題の作品はだいたい読んでいたりする。
話がそれるが、中学校時代、三男は授業中だいたい本を読んでいたようだ。
本を読んでいないとうるさいので、先生はこぞって三男だけは授業中、本を読んでいることをほめた。
もちろん他の子は注意される。
三男だけの特別ルールは他にも色々あったのだけど、全て、三男に静かにしていてもらいたいがためのものだったのだと思う。
つまり、あきらめられているという見方もできるが、三男への合理的配慮という見方もできなくはない。
それが証拠に三男はすっかり不登校にはならず、適度に学校に行って、それなりに友だちどの交流を楽しんでいた。
読書感想
この辺で話を「君の膵臓をたべたい」に戻そう。
ようやく、昨晩読み終わった。
三男は次男のことをこんな感じに思っていたのか……
もちろん、全く同じではないけど、確かに共通点はいっぱいあった。
その辺は読んでいておもしろかった。
そして、率直な感想。
読んで良かった。
三男が勧めてくれた本を読めて良かった。
内容的にも感じるものがあった。
白状すれば、ちょっと泣いた。
主人公の変化をなんか親みたいな気持ちで心から喜んだ。
そして、著者はどういうめあてで書いたのかは分からないけど「コミュニケーション」というワードが頭の中をチラチラした。
人と人の交わりは良いものだと……
「家の中に閉じこもって読書やゲームばっかりしてないで、外の世界に出ておいでよ。
外にはいろんな人がいて、光が満ちているんだよ……」
そんなメッセージを感じ取った。
もちろん、いろんな人がいるからね。
嫌な思いも悲しい思いもする。
それでもなお
人との交わりはすばらしい❣
「三男、ありがとうね。
君のおかげで、良い本が読めたよ」
☆お知らせ
読者さまのコラムは9月いっぱいでクローズさせて頂きます。有難うございました。